水道水を口に入れた時に変な臭いがしたり、なんとなく美味しくないと感じたりした経験はありませんか?
水道水は、皆さんの健康を守るために最低限の衛生度を保たなくてはなりません。そのための浄化手段として塩素消毒をしているのですが、この塩素に含まれる「カルキ」が水を美味しくないと感じさせる要因になっています。
今回は水道水に含まれるカルキを効果的に抜く方法をご紹介したいと思います。
カルキってそもそも何?
日本には水道法という法律があり、水道で利用するお水に対し、人体に影響が出ないよう基準値を国が定めています。
何も手を加えていない水にはたくさんの雑菌が潜んでいるため、そのままではお腹を下すなど、体への様々な悪影響が考えられます。
そのため、水道水として利用するにあたり塩素消毒をするわけですが、この塩素はいわゆる塩化石灰(カルキ)を含んでいます。
カルキは水に溶けると「次亜塩素酸イオン」というものに変化し、消毒・殺菌作用・漂白作用といった効果を発揮します。その高い消毒効果から、若干味の変化が出てしまう懸念はありながらも、無くてはならないものとして利用されるようになりました。
カルキによる副作用の心配
カルキはお水を消毒するには欠かせないものです。ですが、果たして雑菌を消滅させるほどのパワーを持った成分を体に取り込んでも大丈夫なのでしょうか。
実は近年、カルキが持つ副作用についての懸念点がいくつか浮上してきています。
発がん性物質が含まれている
カルキに含まれている塩素は、水中の微生物を分解する際に「トリハロメタン」という物質を発生させます。トリハロメタンとは、有機ハロゲン化合物の一種で、クロロホルム・ブロモジクロロメタン・ジブロモクロロメタン・ブロモホルムの4種類を総称したものです。
トリハロメタンを体内に大量に取り込んでしまうと、発がんの可能性、または肝臓障害や中枢機能低下といった症状が出てしまう危険性があると言われています。
例えば、妊婦さんが毎日トリハロメタンを含んだ水道水を摂取し続けると、安全な水を摂取していた人と比較して、約15%も流産率がアップすることがわかっています。
ビタミンが破壊される
カルキは、その殺菌作用の高さからビタミンを壊してしまうという懸念もあります。星薬科大学が発表した分析結果では、カルキを含んだ水道水で野菜やお米を洗うと、ビタミンの10~30%ほどが失われてしまうということが報告されていて、改めてお料理の際に使用する水の安全性も見直されて始めています。
お肌や髪の毛へのダメージ
カルキは、女性にとっては特に見過ごせないお肌や髪の毛へのダメージもあるとされています。その原因はタンパク質の破壊です。
私達の身体は髪の毛だけでなく、皮膚や爪に至るまであらゆる細胞をタンパク質に依って形成しており、このタンパク質がカルキの影響で破壊されることでダメージを被ってしまいます。
およそ20年前、京都在住の皮膚科医の方が、塩素が髪の毛に与える影響を世界で始めて実験しました。その方法は塩素を含まないお湯で繰り返し髪を洗って乾かしたグループと、塩素を含むお湯で髪を繰り返し洗って乾かしたグループに分けて比較すること。
結果、塩素を含むお湯で洗っていたグループは、髪の毛が細くなりキューティクルも剥がれ落ちてしまうなどの劣化が見られたそうです。
効果的にカルキを抜く方法はこちら!
カルキには消毒作用などのいい面もあれば、さまざまな副作用を引き起こすデメリットもあることを先述で紹介しました。水の味自体も低下してしまうため、水道水を飲むときは極力カルキを抜いて飲むようにしてみてください。こちらでは、その効果的な方法を厳選してみました。
やかん・鍋を使い沸騰させる
一般的に一番有名なのが、このやかんや鍋でお水を沸騰させるやり方ではないでしょうか。完全に沸騰しきってから10分間ほどは、塩素がトリハロメタンに変化している時なので、直後に飲むことはオススメできません。できればおよそ40分~50分くらいは放置したいところです。
ただ、このやり方だと水そのものに含まれるミネラル分までも飛んでしまったり、光熱費がかさんでしまったりと、必ずしもメリットだけではなくなるという懸念があります。若干旧式のやり方であると言わざるをえないかもしれませんね。
ペットボトルに水を入れ替える
カルキは空気に触れる時間が長ければ長いほど、気体となって空気中に混ざっていきます。この性質を利用すれば、敢えてキャップを外したペットボトルに水道水を入れて放置するだけで、簡単にカルキを抜くことが可能になります。
ただその際は、迅速にカルキを抜くためにも、水の量は約半分にするなど、ペットボトル内に空気をたくさん取り込んでおくとより効果的です。カルキが充分に抜けきる所要時間の目安は、2Lでおよそ24時間程度になります。
上記の方法とは別に、太陽の紫外線を利用してカルキを抜くというものもあります。紫外線はカルキを強力に分解してくれる作用を持っているため、単にキャップを外して放置しておくよりも効果的だとされています。
屋外など日光が当たりやすい場所に置いておくと、2Lの水がおよそ半日程度あればカルキ抜きできてしまうとのことです。その際はペットボトルのラベルを外しておくと、全方向から太陽光を当てることができるため、より良いと思います。
ただし、空気中のホコリが混ざりこむなど、衛生面に不安が残ります。煮沸したときのようにミネラルが飛んでしまう心配はありませんが、一長一短の方法と言えるでしょう。
炭を入れる
備長炭を始めとした木炭は、その中に小さな空間が無数に存在していて、ニオイ物質や化学物質を取り込んでくれるという作用を持っています。これを利用し、カルキ独特の臭いや浄水路などで付着した臭いを吸収させるということができます。
また、単純に臭いを取るだけではなく、塩素やトリハロメタンといった副作用の原因物質を吸収し浄化する作用もあるため、安心して飲むことができるようになるでしょう。
炭には、プラスアルファで炭自体が含んでいるミネラルを出してくれるというメリットもあります。水そのものの味も良くなり、一石二鳥の効果が期待できる手法です。
レモンを入れる
レモンに含まれるビタミンCは塩素を分解する作用を持っています。ビタミンCには、カルキと化学反応を起こすことで消滅させてしまう効果があります。
よく、ラーメン屋などの飲食店で水の中にレモンが入っているのを見かけますよね。レモンは短時間でカルキが無くなるという特性を持っているため、飲食店でも重宝されていることがわかると思います。
ちなみに、もっとも効果的なのが調理用のレモン汁を直接お水に垂らすという方法です。このやり方なら、コップ一杯のお水に対し約1~2滴のレモン汁で瞬時に塩素が抜けるそうです。
ただし、お水の味に影響が出てしまいますので、繊細な和食を作るときには向いていない方法ですね。
おわりに
水道水に含まれるカルキは、一定量を超えると水がまずく感じられるだけでなく、さまざまな副作用の心配をしなくてはなりません。特にアレルギーを持っている方や、妊婦さんに関しては、カルキ対策についてよく考えて欲しいと思います。
ご紹介したもので実践できそうなものがあれば、ぜひ試してみてください。